能動的なフォアフット接地のリスク

「フォアフットで接地しましょう!」と、あえて意識的に前足部で接地させることのリスクはとても大きいです。危険です。






フォアフット接地は、衝撃吸収力にたけているということが言われます。確かに接地した際に、ソフトな感覚があります。

かたや、ヒールからのコンタクトは、頬っぺた揺れるくらいの振動が伝わってきます。 しかし、よく考えていただきたいんです。



衝撃を感じにくいということは、身体のどこかで衝撃を吸収処理しているということです。

それは、筋、腱、膜、靭帯、他、いわゆる軟部組織といわれる部位です。

そして、ランニングやフィールドスポーツにおいて、代表的な下肢の障害は・・・



腸脛靭帯炎、シンスプリント、足底筋膜炎、アキレス腱炎、etc・・・・

すべて、軟部組織。


いやいや、はく離骨折したことがある!!という方もいらっしゃるかと思いますが、「はく離」つまり軟部組織の付着部にテンションがかかりすぎてはく離しているということです。





上記の下肢の障害のほとんどに、足部のオーバープロネーションも起因しています。フォアフットにおいて、回内=プロネーション(厳密には距骨下関節の運動用語)という運動をつかさどる、足部の距骨下関節、横足根関節、つまりかかと周りの関節群はヒール接地時とは比べ物にならないほど大きな可動性があるのです。




※足底が接地した状態での、回内(プロネーション)可動域から、フォアフットでの回内可動域の違い。横足根関節(足の甲の付け根の関節)と距骨下関節(カカトの関節)が一緒に動いています。ちなみに、この二つの関節を止めると、股関節は回旋運動ができなくなります。




トレイルランニングで、ゲレンデの駄々下りをフォアフットでちょこちょこ下るスタイルがありますが、あれは、腓腹筋を緊張させたうえで、足関節底屈位(足首をやや伸ばした状態)で、かつプロネーションしやすいので、ニーインしやすく、足部の骨格アライメントは崩れた状態になり、後脛骨筋腱(シンスプリントはこの部位がスネの付着部で痛くなります。)、足底筋膜などに強烈なテンションがかかり続けます。

当然ながら、アキレス腱は腓腹筋が緊張している状態ですので、上からも下からもけん引されています。




小さなストライドだから、衝撃が少ないということはありません。なにせ、強烈な筋緊張を作ったうえで、体重60キロの人がしかも下りで接地すれば何倍もの床反力エネルギーが容赦なく衝撃として立ち上がってきています。

床反力エネルギー無くして動くことはできませんが、この場合はそれこそエネルギーの行きどころがなくただ単に、身体への衝撃として負の連鎖を引き起こします。





フォアフット接地は感覚としては、ダメージがないように感じますが、刻々と知らぬ間に強烈な軋轢を筋腱に蓄積しているということになります。

特に、トレイルランニングのロングレースで、膝をはじめとして下肢のトラブルに見舞われる方はこの傾向があります。





かたや、かかと接地はタ~ンと頬っぺたを揺らす振動が伝わります、これをいわゆる衝撃感覚としてとらえがちですが、これもよく考えていただきたい。





頬っぺたが揺れるほど・・・ということは、身体全体に振動が伝わっているということ、かかと接地ではまず、床反力のベクトルは、膝関節、股関節の屈曲モーメントが働きます。

カカトは丸いので、大きな関節の屈曲を促しながら、いとも簡単に転がり、直後には膝や股関節の伸展を誘導し身体重心を前に送り出します。

すぐに運動が起こることやニーインもしにくくなるので身体重心を次のスペースに推進させる力が働きます。つまり、フォアフット接地のような停滞感は無くなります。





そして、下肢の適正な屈曲モーメントを受け入れた運動は、体幹のコアの活性を呼び起こしますので、お腹もそしてその上には、ジャバラ構造の胸郭というこれまた優れものの衝撃緩衝機能が待ち構えていてくれています。

もちろん、脊柱もしっかりと役割を果たします。



なによりも、これら全身の衝撃緩衝系は、能動的フォアフット接地では、悪者になっていた床反力エネルギーを、一旦保存し(エネルギー保存則)次の運動で推進力に変えていきます。


ヒール接地はロッカーファンクションを呼び起こし脚の回旋を誘発、脚のスウィングと肩甲帯のグラインドから放たれる上肢の適正なスウィングがあれば、保存された強烈なエネルギーは、推進エネルギーとしてベクトル変換されていきます。




われわれ、人間が手にいれた根源的な仕組みです。




フォアフット接地を十把一絡げで、危険視しているのではありません。なぜなら、ヒール接地から始まった足部の機能、ロッカーファンクションは、速度が速まれば、フォアフットになります。短距離走のときはそうなりますね。

ものすごい傾斜を登る時に、かかとで接地するのはおかしいですよね。

階段を降りるときにかかとからいく人いないですよね。




世界のトップランナーも、シチュエーションによってフォアフット気味であったりガッツリヒールからいくときもあります。

世界一速いマラソンランナー、キプチョゲもとくに右足はヒール接地気味になることも多いですね。

どこで接地するではなく、結果どこが接地しているかだけのことなのです、なりよりもそれ以前に運動の質の問題が置き去りにされているのが問題なのです。


※キプチョゲもファラーも接地はいろいろです、黒人ランナーは全員フォアフット接地という甚だ安直なくくりが、なんともやるせないです。




接地は、自然に表れる現象なのです。




そもそも、どこどこで接地しましょう!という、随意性の高い運動自体を身体は求めていないのです、走歩行の運動誘発野は、意識を作る大脳皮質には存在しないのですから。




接地しているのは、人という構造体のすべてです。たまたま、足が下にあるだけなんですよ。





つい最近、全国でも有数の駅伝名門校出身の方から、「フォアフット接地を指導されて、一回全員走れなくなりました」という話を聞きました。こういった、選手たちには個別には、多く接してきましたが、指導の現場でこの状況は、心が痛みます。



指導者が放った言葉は、「ケアが足りないからだ」という叱責だったそうです。


運動は身体が選びます。 脳のないミジンコもめちゃくちゃ、動いていますよね。



身体の仕組み、運動の成り立ちを・・・やはり、かかわる人間たちが考えていかなければなりません。

とりあえず、〇〇運動や、〇〇接地がいいらしい・・・なんていうことについては、根拠を精査しましょう。そして、力学的に物事を検証しましょう。




わたしも、まだまだ、たりません。頑張らねば。






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